期日報告書とは何か

本記事は、弁護士実務における期日報告書の意義と運用について整理する連載の第1回です。

1 期日報告書とは

弁護士業務における「期日報告書」とは、弁護士が代理人として裁判や調停に出席した際に、依頼者に対してその内容・結果を報告するための書面です。

2 期日報告のあり方は弁護士によって大きく異なる

現在の弁護士業界において、期日報告のあり方は弁護士ごとにかなりの差があるのが実情です。例えば、次のような形態が見受けられます。

  1. 裁判期日におけるやり取りを一問一答形式で再現するもの
  2. 各当事者の主張の要旨をまとめたもの
  3. 提出書面、次回までの準備事項、次回期日のみを記載するもの
  4. 電話やメールで重要と思われる箇所のみを報告するもの
  5. 調停など依頼者本人も出席した場合には作成しないもの

3 期日報告書の機能——依頼者への報告にとどまらない

期日報告書の主たる機能は、依頼者への報告にとどまりません。それは同時に、弁護士自身にとっての重要な備忘録でもあります。次回期日の準備事項を確認したり、裁判の推移を振り返ったりする際に、過去の期日報告書を参照する場面は少なくありません。

期日報告書は、依頼者への報告と護士の備忘という双方の要請を満たす形で作成することが望ましいといえます。

4 期日報告書の基本的構成要素

では、どのような事項を記載すべきでしょうか。少なくとも、次の項目は期日報告書の基本的構成要素——いわば「要件事実」——といってよいでしょう。

  1. 事件の表示(どの事件についての報告か)
  2. 期日の表示(いつの期日についての報告か)
  3. 提出書面(何を提出し、何が提出されたか)
  4. 期日の概要(裁判所や相手方とのやり取りの要点)
  5. 次回期日までの準備事項(次回までに何をすべきか)
  6. 次回期日(次回期日はいつか)

また、打合せの申込みや証拠の提供依頼など、依頼者に対する連絡事項については、「備考」欄などを設けて記載するのが適切です。

5 標準的な内容で、すべての期日について作成する

期日報告書の内容は、丁寧すぎても雑駁すぎても、あとで見返すときに使いづらいです。また、他の弁護士と共同で事件処理にあたるときに無用な負担が生じます。標準的な内容のものを継続的に作成することが、実務上も合理的です。

さらに重要なのは、期日報告書を「作成する事件」と「作成しない事件」とを混在させないことです。事件ごと・期日ごとに作成したりしなかったりすると、記録管理の統一性が失われ、事件処理の属人性が高まります。例えば、担当弁護士が退職したり産休に入ったりした際に、期日経過や処理方針の確認が困難になるといった事態が生じかねません。また、弁護士といえども、個々の期日のやり取りをすべて記憶し続けることは不可能です。

こうした観点から、すべての事件のすべての期日について、標準的な内容の期日報告書を作成することが望ましいと考えます。

6 期日報告書は、安定的な事件管理を支える文書

期日報告書は単なる「依頼者への連絡文書」ではありません。質の高いリーガルサービスと持続可能な業務体制の双方を支える、重要な実務文書です。その意義を踏まえ、標準的な様式を採用し、安定的に運用していくことが、弁護士業務の質と継続性を高める基盤となるのではないでしょうか。

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